
クロード・モネ《ジヴェルニーの冬》1885年 油彩/カンヴァス ポーラ美術館

横山大観《霊峰不二》1950年 絹本墨画淡彩 ウッドワン美術館
モネ、大観も使った最強の色
印象派、なかでもクロード・モネの描く雪は、実際は水色や紫色、ピンク色など、さまざまな色が使われていますが、全体的に白い雪という印象を損なうことなく、微妙な質感まで見事に表現されています。
このように、絵画に使われている「白」には、まるで魔法のような、さまざまな秘密が隠されています。
赤色や青色といった有彩色や、同じ無彩色でも黒色と比べて、鑑賞者から「何も描かれていない」と見過ごされがちな白色ですが、モティーフの色としても、絵具の色としても、絵画にとって欠かすことのできない最強の要素のひとつです。
それゆえ、古今東西の芸術家たちは、当時使用できる画材と技法を駆使し、独自の感性を用いて「白」を取り扱ってきました。
本展では、西洋絵画、日本洋画、日本画、版画(西洋、日本)を取り上げ、そこに見られる「白」がどのように使用されているかに着目します。
きわめて重要な役割を担ってきた絵画の中の「白」について、
さまざまな角度から探る展覧会です。

金山平三《二月の大石田》1956-60年頃 油彩/カンヴァス ひろしま美術館
見どころ

クロード・モネ《コロンブの平原、霜》1873年 油彩/カンヴァス 新潟県立近代美術館・万代島美術館
現実の世界には白色に関わる多種多様なモティーフが存在し、古くから絵画に描かれてきました。
そのため、白色のモティーフをたどるだけでも、時代や画家、地域ごとにさまざまな表現や意味の違いを見ることができます。
とくに近代以降の西洋の画家は、単に白いものを白い絵具で描くのではなく、独自の表現方法を用いています。
現実の世界には白色に関わる多種多様なモティーフが存在し、古くから絵画に描かれてきました。
そのため、白色のモティーフをたどるだけでも、時代や画家、地域ごとにさまざまな表現や意味の違いを見ることができます。
とくに近代以降の西洋の画家は、単に白いものを白い絵具で描くのではなく、独自の表現方法を用いています。
固有色の考え方を否定し、光を描こうとした印象派は、さまざまな色を使いつつも「白い」印象を損なうことなく伝える表現を生み出しました。
日本洋画の画家たちも、それに影響を受けた表現を行いましたが、日本の伝統的な絵画の系譜に属する画家たちは、独特の画材や技法などによって、西洋とは異なる表現を用いて、白色を描いてきました。
固有色の考え方を否定し、光を描こうとした印象派は、さまざまな色を使いつつも「白い」印象を損なうことなく伝える表現を生み出しました。
日本洋画の画家たちも、それに影響を受けた表現を行いましたが、日本の伝統的な絵画の系譜に属する画家たちは、独特の画材や技法などによって、西洋とは異なる表現を用いて、白色を描いてきました。
第1章では、白色のモティーフが、油彩画、日本画などにおいてどのように表現されたかについて着目します。

相原求一朗《冬陽淡く》1991年 油彩/カンヴァス 川越市立美術館
時代が下るにつれて、白色のモティーフを単に描くだけでなく、「白」という色を絵の主要な要素として用いる画家たちが現れます。
モーリス・ユトリロは、「白の時代」と言われる時期に描いた白い町並みの作品で知られていますが、白い壁の風合いに独自性を持っています。
時代が下るにつれて、白色のモティーフを単に描くだけでなく、「白」という色を絵の主要な要素として用いる画家たちが現れます。
モーリス・ユトリロは、「白の時代」と言われる時期に描いた白い町並みの作品で知られていますが、白い壁の風合いに独自性を持っています。
さらにレオナール・フジタ(藤田嗣治)は「偉大なる白の下地(グラン・フォン・ブラン)」と称される、裸婦のしっとりとした肌の風合いを表現する白色を生み出しました。
このように、他の色との混色や支持体の地塗りの色といった名脇役として重宝していた「白」を、むしろ絵の主役として表現することに挑戦した画家たちもいました。
さらにレオナール・フジタ(藤田嗣治)は「偉大なる白の下地(グラン・フォン・ブラン)」と称される、裸婦のしっとりとした肌の風合いを表現する白色を生み出しました。
このように、他の色との混色や支持体の地塗りの色といった名脇役として重宝していた「白」を、むしろ絵の主役として表現することに挑戦した画家たちもいました。
また、絵のなかでさまざまに表現される「白」は、さまざまな画材によって表現されていますが、油絵具と日本画の画材の色合いを比べるだけでも、千差万別であることが分かります。
作品のなかには、現在は白色に見えているところも描かれた当時は別の色であったものや、よく見ると絵具が削りとられていたり、塗り残されているために白色になっているものもあります。
第2章では、以下のテーマに沿って、その制作方法や、絵画を構成する技法・素材について着目することで、「白」にまつわる表現がどのように作られているのかを考察します。
また、絵のなかでさまざまに表現される「白」は、さまざまな画材によって表現されていますが、油絵具と日本画の画材の色合いを比べるだけでも、千差万別であることが分かります。
作品のなかには、現在は白色に見えているところも描かれた当時は別の色であったものや、よく見ると絵具が削りとられていたり、塗り残されているために白色になっているものもあります。
第2章では、以下のテーマに沿って、その制作方法や、絵画を構成する技法・素材について着目することで、「白」にまつわる表現がどのように作られているのかを考察します。

画材としての白
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白色を愛した画家たち
マリー・ローランサン《メゾン・ムブレ》1912年 油彩/板 ひろしま美術館
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さまざまな白色
フィンセント・ファン・ゴッホ《ドービニーの庭》1890年 油彩/カンヴァス ひろしま美術館
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さまざまな塗り残し
アンリ・マティス《ラ・フランス》1939年 油彩/カンヴァス ひろしま美術館
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余白、意味のある空間
竹内栖鳳《暮秋》制作年不詳 絹本墨画淡彩 ひろしま美術館
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紙を生かす
レンブラント・ファン・レイン《百グルデン版画(病者を癒すキリスト)》1649年頃 銅版(エッチング、ドライポイント、エングレーヴィング)/紙 熊本県立美術館
ギャラリー
[01]ギュスターヴ・クールベ《雪の中の鹿のたたかい》1868年頃 油彩/カンヴァス [02]アルベール・マルケ《ポン=ヌフとサマリテーヌ》1940年 油彩/カンヴァス [03]金山平三《二月の大石田》1956-60年頃 油彩/カンヴァス [04]ウジェーヌ・ブーダン《ボルドー風景》1874年 油彩/カンヴァス
[05]黒田清輝《白き着物を着せる西洋婦人》1892年 油彩/カンヴァス [06]ポール・セザンヌ《座る農夫》1897年頃 油彩/カンヴァス [07]ポール・セザンヌ《曲がった木》1888-90年 油彩/カンヴァス [08]アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《アリスティド・ブリュアン》1893年 グワッシュ 油彩/紙 [09]アルフレッド・シスレー《サン=マメス》1885年 油彩/カンヴァス
すべて ひろしま美術館蔵
展覧会の楽しみ方
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カフェ・ジャルダンで
「白」をテーマにした特別メニューを楽しもう!
フランスの家庭料理であるフリカッセ。ソテーした広島熟成鶏をベシャメルソース、生クリーム、牛乳で煮込んだ白い煮込み料理です。まろやかでコクのある味わいが、バターライスにもパンにもぴったり!
チョコサブレに、ゆずのムースやバニラチョコクリーム、レモンジュレを合わせたまんまる白いケーキです。なかに隠されたラズベリーのジュレとざくざくとしたホワイトチョコクランチの食感も楽しんで。 -
ミュージアムショップで
お気に入りのアイテムを探そう所蔵作品をモティーフにしたオリジナルグッズや所蔵作品図録など各種カタログ、開催中の特別展に関連した期間限定商品などを多数取り揃えています。当ショップでしか入手できないグッズもたくさん!ぶらりとお土産や思い出の品を探してみてはいかがでしょうか。
※ミュージアムショップは、入館券がなくてもご利用いただけます。 -
ファッションにもこだわってみる
展示をもっと楽しむなら、当日のファッションにも少し魔法をかけてみませんか。
「白の魔法」の世界には、光を受けて表情を変える“白”が似合います。
身につける色や質感から、自分だけの“魔法”を完成させましょう。あなたのスタイルが、この空間に新しい光を宿します。
イベント情報
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白の魔法-モネ、大観も使った最強の色- アンバサダー
この度、高田夏帆さんが「白の魔法-モネ、大観も使った最強の色-」のアンバサダーに就任!会期中のプロモーション活動やイベントへの参加、SNSなどを通じた魅力発信を担っていただきます。
- 活動内容はひろしま美術館のSNS等で発信します。
高田夏帆プロフィール
1996年5月31日生まれ。東京都出身。
「仮面ライダービルド」でヒロインを演じ、TBS系ドラマ「凛子さんはシてみたい」で主演を務める。バラエティ、舞台、CMでの俳優・タレント活動のほか、歌手としてもCDをリリース。さらにフルマラソンへの参加など、幅広い分野にて活躍。
2024年からは韓国での俳優・歌手としても積極的に活動中。
現在フジテレビ系ドラマ「小さい頃は、神様がいて」レギュラー出演中。 -
謎解きイベント-謎と絵画と導かれし記憶-
日時 2025年12月13日(土)〜2026年3月22日(日)
9:00 – 17:00会場 ひろしま美術館 内容 ひろしま美術館および、周辺で謎解きイベントを実施します。 本イベント『謎と絵画と導かれし記憶』は、ひろしま美術館周辺の公園を巡りながら謎を解く、体験型の周遊謎解きイベントです。
集めたヒントを読み解くたびに、作品にまつわる物語や時代背景が少しずつ姿を現し、 まるで画家のアトリエの記憶を辿るように、絵画の世界の深層へと導かれていきます。
散策しながら楽しめる、新しい"学びの謎解き"をぜひご体験ください。- 参加費用は無料です。
- すべての謎解きをクリアされた方は入館料200円引きでご入館いただけます。
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AIでアート作品をつくろう
日時 2026年1月24日(土)、25(日)、2月21日(土)、22日(日)
受付10:00 – 16:00会場 ひろしま美術館 地下1階講堂 内容 一期一”絵”の出会いから世界に一つの作品をつくろう 「AIアートラボ」を使って、世界に1枚だけのアート作品づくりが体験できます。
つくった作品はポストカードにしてその場でプレゼント!- 参加条件:白の魔法展の入館券をお持ちの方(半券可)、参加費用は無料です。
- 12歳未満のお子様は保護者同伴で参加していただくようにお願いします。
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放浪の雑貨店~白の魔法~
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ミュージアム・トーク
日時 ①2025年12月13日(土)
②2026年1月10日(土)
③2月14日(土)
④3月14日(土)
各回11:00 – 12:00会場 ひろしま美術館 本館ホール内 内容 当館学芸員が「白の魔法 -モネ、大観も使った最強の色-」について解説します。 ①「白の魔法」について
②描かれた「白」
③白色の科学
④「画材」としての白- 事前申し込みは不要です。
- 聴講は無料ですが、当日有効の入館券が必要です。
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リーガロイヤルホテル広島 × ひろしま美術館コラボ
特別展「白の魔法 -モネ、大観も使った最強の色-」の開催を記念して、リーガロイヤルホテル広島とひろしま美術館のコラボレーション企画を実施いたします。
内容 ①チケット提示ご優待
②レストランコラボメニュー
③宿泊プラン- 詳細はリーガロイヤルホテル広島コラボレーション特設サイトをご覧ください。
開催概要
| 展覧会名 | 白の魔法 ―モネ、大観も使った最強の色― |
|---|---|
| 会期 | 2025年12月13日(土)~2026年3月22日(日) |
| 休館日 | 年末年始(12月29日~1月2日) |
| 開館時間 | 9:00~17:00(入館は16:30まで) |
| 会場 | ひろしま美術館 |
| 主催 | 公益財団法人ひろしま美術館、中国放送、中国新聞社 |
| 後援 | 広島県教育委員会、広島市教育委員会、広島テレビ、広島ホームテレビ、テレビ新広島、広島エフエム放送、FM ちゅーピー76.6MHz、ちゅピCOM |
| 協賛 | 広島銀行 |
| お問い合わせ | 082‐223-2530 |
| オンラインプレス | 【プレスの方へ】 ひろしま美術館では、新聞や雑誌、テレビなどマスコミ・プレス関係の方向けにプレスリリースや広報用画像データをご提供しております。
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アクセス
チケット
| 当日券 | 前売券または 20名以上の 団体料金 |
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|---|---|---|
| 一般 | 2,200円 | 2,000円 |
| 高大生 | 1,000円 | 800円 |
| 小中学生 | 500円 | 300円 |
- 65歳以上の方は一般団体料金(2,000円)でご入館いただけます。年齢確認ができるものを受付にご提示ください。
- 障がい者手帳をご持参の方は、ご本人と同伴者1名が無料です。
- 本展の入館券でコレクション展示もご覧いただけます。
- 未就学児童は無料です。
チケット販売
- セブン-イレブン(セブンコード:112-366)
- 12月12日(金)まで前売券販売中
- ローソン・ミニストップ店内「Loppi」(Lコード:61757)
- 12月12日(金)まで前売券販売中
- ひろしま美術館
- 中国新聞販売所(取り寄せ)
- 中国新聞社読者広報部
- エディオン広島本店 東館9F プレイガイド
- フジグラン広島
- ゆめタウン広島1F サービスカウンター
- 呉信用金庫ホール 総合受付(呉市文化ホール)
- 紀伊國屋書店 広島店(アクア広島センター街6F)
- BOOK GALLERY KOBUNKAN(ミナモア3階 WEST)
- 絹谷額縁店
- ブラック画材